バイクの走行装置の仕組みや働き

公開日: : バイク


動力発生装置や伝動装置は動力に関わる役割だけを主に担っていましたが、走行装置は様々な役割を持っています。力を地面に伝えたりバイクの骨格を作ったり、路面のショックを吸収したり、速度を制御したり、細かいところでは運動性能や走行特長を決定したり。またスタイリングの趣を決定したりもしますね。そのバイクがどんなジャンルとなるのかが決定する装置が、この走行装置でもあります。

ディスクブレーキ・ドラムブレーキ

バイクの制動装置としてはディスクブレーキとドラムブレーキが一般採用されていますが、そのうち主流なのは制動能力に優れるディスクブレーキが主流となっています。高出力モデルでは、フロントダブルディスクブレーキ、リヤシングルブレーキの組み合わせが多いです。

ディスクブレーキの詳細

ホイールに平行してブレーキローターと呼ばれる円盤状の金属板を配置し、これを左右からブレーキパットが挟み込むことで制動を行います。操作はフロントであればブレーキレバーを、リアであればブレーキペダルによって操作し、マスターシリンダーと呼ばれるブレーキフルードを収めるタンクからホース内にフルードを送り込むことによって、キャリパー内のピストンが飛び出してパッドを押し、ディスクを挟み込ませます。

ディスクブレーキには片押し式と対向式の2種類があり、方押し式の場合は、片側だけにパッドを押すピストンが備わっています。対抗式は、ディスクを挟む両側のパッドにピストンが備わっています。片押し式は主に小排気量車両のブレーキに採用され、方押し式よりもレスポンス性に優れる対抗式は排気量の大きいモデルに採用されます。

パッドを押すピストンの数も種類が多く、片押し式1ピストンという組み合わせから、対向式複数ピストンと様々です。ピストン数が多いほどピストンサイズが小さくなり、ディスクの端寄りを挟んで制動させることができます。回転動力を制動する際は端に近いほど良いとされることから、複数ピストンであるほど制動力を高めることができます。

フレームについて

バイクの骨格となるのが、フレームです。パワーユニットにドライブトレイン、各種ランニングシステムなど各種機構を搭載して支え、またバイクの走行性能やフォルムを決定する重要部位でもあります。

フレームの構成

フレームには、搭載する機構の重さや振動、路面から受けるショックに十分に耐えられる強度だけでなく、剛性も備える必要があります。バイクが走るとなると、フレームには曲がったりねじられるという力が加わってきます。この力に対してフレームが歪まないように高剛性を備えるひつようがあるのです。しかし剛性を強めすぎると、また扱いにくい面が現れてきてしまうため、部位に応じて合成を計算し、また素材までコンピューターで厳密に計算したうえでフレームを作り上げています。

フレームの種類はいくつもありますが、最もオーソドックスであるクレードルフレームを例に、フレーム各部の名称を軽く紹介します。

まず、フロントの最先端部位にあるのがステアリングヘッドです。ここにはフロントフォークを装着する部分です。この部分から伸びてエンジンの上を通るフレームをメインチューブ、下に伸びでエンジンの下を通るフレームをダウンチューブと呼びます。

車体中心から後方に位置し、シートやリアフェンダー、リアサスペンションを装着しているフレームをサブフレーム、またはシートレールと呼びます。スイングアームを支持する部分は、スイングアームピポット、エンジンを固定する部分はエンジンマウントと呼ばれています。なお、エンジンのマウント方式には、直付けのリジットマウント方式と、ラバーを間に挟むラバーマウント方式があります。

運動性能の調整

高性能モデルにはしばしばマスの集中化という言葉が用いられます。これは車両の運動性能を高めるために欠かせない要素であり、レースマシンの性能をフィードバックする高性能モデルなどでは厳密に計算を行い、車両設計を行っています。

マスの集中化

重量物を可能な限り車体の中心に配置することがマスの集中です。重量物は重心から遠いところに分散しているよりも、中心に集中しているほうが運動性に優れます。この原理をバイクの車体にも取入れているのです。

具体的には、マスの集中を施すことで、ヨーイング(車体の水平面での回転運動)、ピッチング(車体の重心周りでの回転運動)、ローリング(車軸の接地線周りの車体の回転運動)の3つ高率な運動が得られます。

レースーパースポーツやモトクロスマシンのように高性能を求める車両にはマスの集中化が欠かせず、ライダーが一体感を感じることができる最適な運動性能をマシンに与えています。

マスの集中化は、最も重量のあるエンジンを中心とし、その周りに重い部品を集中させます。パワーユニットやドライブトレインはもちろん、ブレーキのマスターシリンダーや外装も極力中心に配置します。フェンダーのように中心から離れた場所に備えなくてはいけないパーツもありますが、これらは軽量化が目指され、マスの集中の弊害にならないようにします。

また、サスペンションよりも下にある車輪側に備わるタイヤ、ホイール、制動装置、フロントフォーク下部などをバネ下と呼び、そのバネ下重量を軽減することも、車両の運動性能に大きく関わってきます。

走行装置について

動力発生装置(パワーユニット)の動力を伝動装置(ドライブトレイン)が減速を行い、最後に受け取るのが走行装置(ランニングシステム)となります。動力を支えてタイヤへと伝え、また、その制御も行っています。

動力を発揮し、支える

走行装置の基本となるのが、まずはフレームです。フレームが骨格となり、サスペンション機構が備わり、フレームと後輪を結ぶスイングアームもフレームに装着されています。そして前後ホイールに装着されたタイヤが地面を蹴ることで、バイクが走ることができます。

前後に備わるサスペンション機構は路面から受けるショックを和らげるために欠かせません。ショックにより車体がダメージを受けるのを防ぎ、またライダーに快適性も与えてくれます。古い車両ではリアサスペンションを備えないリジットフレームを採用するバイクもありますが、現在は前後サスペンションの装着が基本です。

走るだけではなく、制動力を発揮する装備も走行装置には欠かせません。前後にその車両に必要な制動力を与えるディスクブレーキやドラムブレーキが搭載されています。安全に走らせ、止まらせるのが、走行装置の重要なポイントとなります。

まず基本を踏まえたうえで、より高い走行性能を発揮できるような調整が施されています。具体的にはホイールベースやキャスター角、トレール量、マスの集中化といったバイクの走行性能と運動性能を決定する重要なステータスであり、さらには車両から得られる乗り味も決定します。
サスペンションは、バイク路面から受けるショックを吸収して安定した走行が行えるようにするシステムです。また、ライダーの快適性や操縦性を高めるためにもサスペンションは重要となります。

サスペンションの詳細

舗装された路面であっても、ふとしたところで凹凸がいくつもあります。そのような場所を通った際には大きな衝撃が車体やライダーに伝わってしまいます。そのようなショックをサスペンションの緩衝能力を利用して吸収することで、安全性と快適性を保つことができます。

サスペンションの基本的な構造は、強力なスプリングとダンパーを¥の組み合わせとなります。スプリングによってショックを吸収したり、またライダーの荷重を支えます。そして、スプリングだけではショックを受けた際に跳ね続けてしまうので、受けたショックを解消するために減衰作用を働くダンパーも欠かせません。

サスペンションは備わっている車両の特性によって長さや硬さも違います。舗装路をメインに走るオンロードタイプでは、ある程度の硬さを保持しています。柔らかすぎると高速時の挙動に欠けるうえ、二人乗りの場合にはサスペンションが柔らかすぎると底付きを起こしてしまう可能性もあります。しかし、硬すぎては快適性が失われてしまうため、多少柔らかく設定する必要性もあります。

未舗装路をメインに走るオフロード車両の場合は、柔らかくてサスペンションのストローク量も長く設定されています。舗装路と違って未舗装路では凹凸や段差が多く、またトライアル競技のように飛び跳ねたりする場合にはサスペンションの柔らかさと長さは重要となります。

サスペンションについて

サスペンションのうち、フロントタイヤが受けるショックを吸収する役割を持っているのが、フロントサスペンションです。リアサスペンションよりも歴史は古く、過去にはフロントサスペンションのみでリアサスペンションを備えない車両もありました。

フロントフォーク

フロントフォークはフレームのステアリングヘッドに備わるトリプルツリーによって左右に1本ずつ備わり、フロントタイヤを支えており、サスペンションとしてフロントの衝撃を吸収する役割とフロントタイヤを支える役割を持っています。

フロントフォークの種類にはいくつかありますが、現在のバイクに標準採用されているフロントフォークのほとんどは、テレスコピックタイプとなります。名前は望遠鏡(テレスコープ)が伸縮する構造と似ていることから由来しています。

テレスコピックタイプはアウターチューブとインナーチューブによって構成されており、フォーク内部にはサスペンションの役割には欠かせないスプリングと、減衰力を発揮するオイルと機構が備わっています。

また、アウターチューブが上に位置する正立タイプと、下に位置する倒立タイプに分けることができます。性能的には、太いアウターチューブをステム側としたほうが高い剛性が得られるという点から、倒立タイプが高性能モデルに採用される傾向にあります。

上記ではテレスコピックタイプのフロントフォークについて説明しましたが、他にもスプリンガーフォークやガーターフォークと呼ばれる旧式のフロントサスペンション機構もあります。性能面ではテレスコピックに劣りますが、一部クラシックテイストを求める車両にこれらが採用されることもあります。

スイングアーム

リアホイールを支えているのがスイングアームです。リジットフレームにはスイングアームは有りませんが、現行車両のほとんどがリアサスペンションを備える構造となっているため、スイングアームは必至となっています。

スイングアームの詳細

フレーム同様にウイングアームにも高い剛性が求められ、コンピューター解析によって綿密な設計が施されます。さらにマスの集中化を目指して軽量化も求められ、材質にアルミニウム合金なども積極的に採用されます。

スイングアームのタイプは、大きく分けると後輪を左右から支える両持ちと片方で支える片持ちに分けることができます。量持ちの場合は左右の重量バランスに優れ、構造も単純です。片持ちの場合は重量が軽いというメリットがあります。また、タイヤ交換が容易です。

形状は両持ちであればコの字型が基本です。片持ちであればコの字の先端が片方のみというイメージです。特殊なスイングアームとしては、ハーレーダビッドソンのソフテイルフレームというものがあります。これはスイングアームをフレームのデザインの一部として考えられたもので、古いハーレーにて採用されていたリジットフレームの外観を再現しています。

現在のバイクはスイングアームを装着し、リアサスペンションによって支えるという方法が当然ですが、古い車両には先述したハーレーのリジットフレームのようにスイングアームとリアサスペンションを備えない車両もありました。また、現行車両でも公認カスタムクルーザーがスイングアーム無しのリジットフレーム車両を市販していたりもします。

タイヤ

バイクを支えて駆動力や制動力を伝え、路面の衝撃を和らげているのが、前後ホイールに装着されるタイヤです。クルマのタイヤと違ってバイクにはバイクならではのタイヤが装着されています。

バイクならではのタイヤ

クルマの場合は4つのタイヤに支えられて安定し、ハンドルを切ることで曲がります。しかし、バイクの場合はタイヤは2つしかなく、曲がる際にもハンドルを切るというよりも車体を傾けて曲がります。車体を傾ければタイヤは側面まで使わなくてはいけません。そのため、バイクのタイヤは丸みを帯びており、サイド部もしっかりと走行に耐えられるような設計が施されています。

一見するとただのゴムの塊のように見えるタイヤですが、その内部には効果的な化学繊維等が組み込まれることで構成されています。まず、タイヤの骨格となる部分はカーカスと呼ばれています。これは、タイヤが受けるショックに耐え、タイヤとリムの間の空気圧を維持するために欠かせない重要部位です。

実際に路面と接触する面は、トレッドと呼ばれています。そしてタイヤの側面は、サイドウォールと呼ばれています。トレッドは厚さのあるゴムによって構成され、内部のカーカスを保護し、グリップ力も発揮します。溝のパターンは様々で、この溝の具合によってグリップ性や適する走行場所が決まってきます。サイドウォールは走行によってたわみが生じやすい部位であるため、屈伸性が高められいます。

その他、リムとタイヤが接触する部位はビートと呼ばれ、リムとの摩擦による損傷を防ぐための補強がされており、チューブレスタイヤには内部にインナーライナーが張られており、空気漏れを防いでいます。

走行特長の調整

クルーザー系のバイクは直進安定性に優れ、スーパースポーツ系のバイクは旋回性に優れるといわれますが、この両者の違いは、ホイールベースやキャスター角、トレール量の違いからきています。

走行特徴を決めるステータス

ホイールベースは軸間距離とも呼ばれる通り、前輪の中心から後輪の中心までの長さとなります。この長さが長いほど直進安定性に優れ、短いほど旋回性に優れます。ゆったりと直線を流すことに優れるクルーザーでは1600mm~1700mm、逆にサーキットでのクイックな走行性能を求められるスーパースポーツでは1400mm前後と、両者の長さは大きく異なります。

キャスター角とトレール量も、ホイールベース同様に走行安定性に関係しています。キャスター角とはステアリングヘッドの角度を指し、この角度が大きいほど直進安定性が増し、小さいほど旋回性がまします。

トレール量は、ステアリングヘッドを地面に向けて延長させて地面に到達した点と、フロントタイヤの地面との設置点の間の距離を指します。このトレール量が多いほど直線安定性が増し、短いと旋回性がよくなります。仮にホイールベースが長くとも、このトレール量が少ない場合には直線安定性が犠牲になってしまいます。

走行特徴を決定するこれらステータスは、車体の外観魅力も演出します。例えばロングホイールベースのクルーザーは、たとえ400ccモデルであってもクラスを圧倒する堂々たる姿を演出してくれます。またホイールベースが短い車両は、コンパクトで街中でも軽快に走れる楽しみを予感させてくれます。

ホイール

タイヤを装着しているのがホイールです。オーソドックスなワイヤースポークが昔から定番でしたが、現在のオンロードマシンにはチューブレスタイヤが装着できるキャストホイールが、一部車両を除いて一般的となっています。

様々なホイール

ワイヤースポークホイールは、車輪中央に備わるセンターハブとリムを金属製の細いワイヤースポークを複数利用してつなぎあわせて構成されています。かつてはキャストホイールと比べて軽い利点もありましたが、現在では重量の差はさほど目立たなくなりました。

しかし、スポークには路面から受けるショックを吸収する働きもあることから、オフロードモデルではワイヤースポークホイールが定番採用されています・。また、クラシックテイストを求める車両のホイールとしても欠かせないアイテムとなっています。

現在のオンロード向けモデルの定番は、キャストホイールです。ハブとスポーク、リムが一体化しており、材質には軽量なアルミ合金が採用されています。レースモデルや高性能モデルでは、より軽量なマグネシウムやカーボン製のキャストホイールもあります。

キャストホイールは、ワイヤースポークホイールでは通常装着のできないチューブレスタイヤを装着することができるという利点があります。また、デザイン度が高く、車両によって個性的なホイールとすることも可能で、社外ホイールにもデザイン性の高いキャストホイールが多数ラインナップされています。

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