バイクエンジンの気筒数や気筒レイアウトに関する考察

公開日: : バイク

気筒数と気筒レイアウト

エンジンが高出力を求めるためには排気量アップが欠かせません。ただし、闇雲に排気量をアップすればよいだけでなく、気筒数を増やして排気量を分配し、さらには気筒のレイアウトまで考えなくてはいけません。

多気筒化と気筒レイアウト

気筒というのは、ピストンが往復運動を行うシリンダーのことです。バイクのエンジンの場合、気筒数が1つの単気筒をはじめ、2気筒や4気筒が定番採用されています。単気筒はシングル、2気筒はツイン、4気筒はフォアとも呼ばれます。

エンジンのシリンダーを増やすことを多気筒化といいます。このメリットは、同じ排気量でも燃焼効率を高めやすく、さらに各気筒で発生したエネルギーを他の気筒の行程の生かせるという点もあります。例をあげるとすれば、400ccの単気筒よりも、400ccを4つの気筒に100ccずつ分配したほうがシリンダーもピストンも小さく軽く収めることができるため、より高回転まで回せる高出力エンジンになるということです。

しかし、多気筒化すればよいという訳でもなく、あえて2気筒や単気筒を採用する場合もあります。高回転の高出力を求めることがバイクのすべてではないため、気筒数を少なくしてトルクフィーリング溢れる低回転型のバイクを求めるという場合もあるのです。また、小型軽量を目指すためにオフロードバイクは単気筒を採用し、スクーターも製造コストや燃費性に優れる単気筒を採用する傾向にあります。

シリンダーを増やすとなると、必要になるのが気筒レイアウトです。最もベーシックなのは、気筒を横に並べた並列タイプ(直列タイプ)です。気筒をV字に並べたV型も多く見られます。また、V型でも角度を90度近くまで広げたものはL型と呼び、さらに180度まで角度を広げて地面に対して水平に気筒を配置したものは水平対向型と呼んでいます。

単気筒エンジン

気筒(シリンダー)が1つという単気筒は、最もシンプルなエンジンの形です。シングルエンジンとも呼ばれます。シンプルゆえに構造は簡単で、小型軽量、さらには燃費性や耐久にも優れるという高い実用性も持っています。また、実用性のみならず高出力を求めた単気筒エンジンも存在します。

単気筒エンジンの特徴

主に小排気量モデルの高性能よりも実用を重視したバイク採用されます。また、独特の鼓動感や軽量コンパクト性を生かしてあえて単気筒を選択するモデルもあります。

原付一種、原付二種クラスの排気量モデルにはまず単気筒が選択されます。それ以上のクラスであっても、ビッグスクーターやレトロ系には単気筒を搭載する傾向にあります。また、軽量コンパクトを求めるオフロード系モデルにも単気筒が定番となっています。400ccクラス以上となると、単気筒の採用は珍しくなってきます。

単気筒のメリットは、多気筒エンジンと比べて構造がシンプルで部品点数も少ないことから、整備性、軽量コンパクト性、製造コスト、耐久性などが優れる点があげられます。また、フリクションロスが少ないことから燃費性能にも優れています。

デメリットとしては、多気筒エンジンと比べて高出力を得にくい点があげられます。ただし、昨今は高性能な単気筒へと進化しており、バルブ機構としてDOHCを採用、マルチバルブ化などを搭載し、オフロード系やビッグスクーターのパワーユニットとしては十分な性能を発揮できるほどの単気筒も数多く見られます。
エンジン内部に設置された吸気口と排気口に備わっているのが、バルブです。吸気を制御しているのが吸気バルブ(インテークバルブ)、排気の制御を行うのが排気バルブ(エキゾーストバルブ)になります。

バルブの詳細

エンジンに取り付けられているバルブの数は、基本は吸気バルブと排気バルブが1つずつの2バルブとなり、吸排気の効率を高めるために

吸気バルブを1つ追加した3バルブ、吸排気をそれぞれ1つづつ追加した4バルブ、さらには吸気を3つ、排気を2つとする5バルブもあります。吸気バルブは、排気バルブより総量が多くなるようにするのが一般的です。

バルブは、吸排気口を塞ぐ円形の傘部と、カム側へと伸びる軸のバルブステムによって構成されています。カムやロッカーアームと設置する部分はバルブステムエンドと呼ばれ、この部位がカムノーズによって押されることで、バルブが開きます。通常はバルブスプリングの伸びようとする力によって、バルブは閉じられた状態が保たれています。

エンジンを構成する各部には高度な耐久性が要求されており、バルブも例外ではありません。クランクシャフトが2回転するたびにバルブは1回開くため、エンジンの毎分回転数の半分の回数をバルブが正確に作動していることになるのです。また、爆発による高温にも常にさらされることから、耐熱性も必要となります。さらに、高出力を求めるとなると、バルブの軽量化、抵抗低減なども求められます。

並列エンジン

現在のバイクに採用されているエンジンレイアウトのほとんどが、並列と呼ばれるタイプのものです。2気筒や4気筒が定番で、主に高出力を求めるバイクにはお馴染みのエンジンレイアウトとして定着しています。

並列エンジンの特徴

並列エンジンは海外では、インラインエンジンと呼ばれています。そのため、略称の際にはL2(並列2気筒)L4(並列4気筒)と、略されます。また、直列エンジンと呼ばれることがもありますが、進行方向に対して横型に置かれることが多いバイクの場合、並列としての呼び方のほうが定着しています。

なお、地面に対してシリンダーが垂直に立っている場合は、直立型と呼ぶこともあります。英語ではバーチカルツイン。垂直的な2気筒という意味です。カワサキのWシリーズのエンジンはこれにあたります。

並列エンジンのメリットは、エンジンを軽量コンパクトに押さえやすい形状と、吸排気のレイアウトに優れる、高出力を発揮しやすいという点があげられます。そのため、現在のネイキッドやスポーツ系モデルの定番レイアウトとして採用されています。排気量が400ccクラス以上には並列4気筒、250ccクラスでは並列2気筒が定番となっています。

デメリットとしては、気筒数が増えるとエンジンの横幅が増してしまう点です。また、クランクシャフトが長くなってしまうことから剛性の問題も解決しなくてはならず、優れたエンジンレイアウトでありながらいくつかの問題点は持ち合わせています。

水平対向エンジン

並列やV型ほどメジャーではありませんが、BMWのRシリーズのエンジンとして定番の水平対向というエンジンレイアウトもあります。地面に対して水平にシリンダーが位置していることから、その名前で呼ばれています。また、ボクサーエンジンとも呼ばれています。

水平対向エンジンの特徴

シリンダー同士が地面に対して水平に向かい合うという性質上、クランクを縦置きにして車体に搭載するのが基本となります。また、回転運動の流れ上、駆動系にはシャフトドライブが選択されます。

水平対向エンジンはクランクシャフトの位相に応じてボクサーツイン、そして180度V型エンジンに分けられます。前者はシリンダー間の位相を180度ずらしているクランクシャフトで、後者は同位相でクランクピンを共通しているタイプとなります。

水平対向エンジンはBMWが古くから採用しているエンジンレイアウトである他、ホンダのゴールドウィングといった大排気量モデルに水平対向6気筒エンジンを採用していたりもします。

利点としては、V型や並列に比べてエンジンの高さを低く抑えて低重心にも貢献しやすい点があげられます。さらに、空冷式である場合はシリンダーが車体の横に出るために冷却面積が広くなる利点もあげられます。また、ボクサーエンジンでは低振動と静寂性に非常に優れます。

デメリットとしては、シリンダーが水平に向かい合うことから横幅が大きくなりすぎてしまう点があります。そのため、ボアストロークはショートストローク型として幅を抑えることが基本となり、さらに駆動系にはシャフトドライブを組み合わせるなど、機構に関する制限が出てしまいます。

V型エンジン

並列型と同じくらい、現在のバイクのエンジンの定番レイアウトとなっているのがV型です。並列とは違った性能利点のほか、スタイルの魅力もあり、多くのファンを獲得しているレイアウトです。

V型エンジンの特徴

シリンダーがV字にレイアウトされていることから、V型エンジンと呼ばれています。2気筒の場合はV2(Vツイン)、4気筒の場合はV4(Vフォー)と呼ばれています。4気筒以上のV型エンジンもありますが、バイクの場合は4気筒までが一般的です。V各が90度に設定されている場合は、L型とも呼ばれます。

なお、進行方向に対してクランクを縦と横のどちらに配置するかによって、縦置V型と横置V型の2つに分けることができます。一般的には横置きが主流ですが、イタリアのモーターサイクルメーカー、モトグッツィでは縦置V型2気筒を伝統的に採用し続けています。

V型エンジンを採用するバイクは、クルーザーに多くみられます。これはハーレーダビッドソンをはじめとするアメリカの古参モーターサイクルメーカーが古くから伝統的にV型2気筒エンジンを採用し続けているという理由が大きいです。クルーザー以外にも、ネイキッドやスポーツモデルでも採用されることはあります。ドゥカティのスポーツでも、伝統的にL型2気筒を採用し続けています。

V型のメリットは、横置きにクランクを配置した場合は車体をスリムにすることができる、気筒数が多くなってもコンパクトにしやすいという点があげられます。さらに、クランクを短くでき、不等間隔の燃焼によるトラクション効果も得られすい利点があります。ただし、構造が並列に比べて複雑になるほか、横置きの際は後方シリンダーに走行風が当たりにくいといったデメリットもあります。

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