管理栄養士の資格を目指す人の為の基礎知識

公開日: : 最終更新日:2015/06/13 ビジネス


管理栄養士とは、主に傷病者に対して、一人一人の症状や体質などを考慮しながら療養に必要な栄養を指導したり、その栄養を摂取できるように食事を管理する国家資格および職業のこと。
いわば食の専門家、栄養のスペシャリストです。
栄養に関する専門的な知識が必要となり、厚生労働省監修の国家試験に合格し、免許を取得しなければ管理栄養士になることはできません。
前述では「傷病者に対して」とありますが、健康体の人や、病気とは診断されていないものの、患う可能性の高い「予備軍」とされている人にも、健康の保持・増進を図るために必要な栄養を指導します。
また、個人だけでなく、病院や福祉施設、学校、保健所など、特定多数人へ継続的に食事を供給している大きな施設に対して、栄養改善の指導や献立の作成といった給食管理も行います。
国民の健康維持と病気予防を目的とした健康増進法(旧:栄養改善法)という法律が、「特定給食施設のうち1回300食以上、または1日750食以上を提供する給食施設において、栄養士のうち少なくとも1人は管理栄養士を置くように努めなくてはならない」と定めているように、給食の提供数が多い施設では管理栄養士が求められており、栄養士に対して指導を行うこともあります。
こういった施設が主な勤務先となるため、勤務時間はシフト制の場合が多いようです。
さらに、管理栄養士は全国どこでも通用する資格であることから働き口が多く、家事や育児をしながら働く女性もライフスタイルに合わせて、仕事を選ぶことができるというメリットがあります。

資格のニーズは

管理栄養士は、栄養士の最上位に位置し、栄養関連の資格において唯一国から認められる国家資格です。
高齢者や生活習慣病患者および予備軍が年々増加している現代では、食生活の見直しが必要とされており、その専門知識を持った栄養指導のプロである管理栄養士の資格のニーズも今まで以上に高まってきています。
特に、近年の高齢化社会に伴い増加し続ける介護施設や老人ホームをはじめ、医療機関では管理栄養士が病院で栄養指導を行うと診療報酬が発生することなどから、管理栄養士の資格保持者は非常に重宝されています。
その他、栄養研究施設や食品メーカーの研究者、企業の健康管理室など幅広い分野で活躍しており、それだけ管理栄養士を求めている現場が多いということです。
また、都道府県知事から指定を受けた「特定給食施設」では、健康増進法という法律に基づき、管理栄養士を必ず置かなければいけません。
特定の給食施設には、以下のような施設が挙げられます。

医学的に食事の管理を必要とする施設

300床以上ある病院、定員300人以上の介護老人保健施設、合計300人以上いる病院と介護施設が併設された施設など。

管理栄養士による特別な食事の管理を必要とする施設

乳児院や保健所、児童養護施設などの児童福祉施設、身体障害者福祉センターや特別養護老人ホームなどの社会福祉施設、矯正施設や自衛隊などの事業所で、1回500食以上、または1日1500食以上を提供する施設など。

上記2つのどちらかに該当する施設へと食事を提供している施設

委託給食施設など。

将来性は

病気を予防・改善する上で、食生活や栄養の摂り方は非常に重要になります。
メタボリックシンドロームや生活習慣病の患者および予備軍が増加傾向にあり、今後ますます高齢化が進んでいく日本において正しい食生活を指導する管理栄養士は無くてはならない存在です。
栄養関連の資格の中でも深い専門知識が必要となるので簡単には取得できませんが、管理栄養士の需要は年々高くなっており、それだけ重宝されています。
管理栄養士の配置が義務付けられている大きな施設をはじめ、最近ではカロリーや塩分を気にする人、食アレルギーを持つ人が多いことから、レストランなどの外食産業や食品メーカーでもこういった人たちに向けたメニューを出すために、管理栄養士を募集しているところが多々あります。
通称「メタボ健診」と呼ばれる特定保健指導という制度が開始されたことでも、個人の食への関心はさらに高まり、求人数がどんどん増えてきています。
資格を持っているだけでは働き口が見つからないということはよくありますが、管理栄養士は現代の日本で最も求められていると言っても過言ではないので、働き口が多く、将来性のある資格と言えます。
また、管理栄養士の仕事は比較的長く続けやすい職業でもあります。
人々の健康を左右する食事を管理するというのは、大きな責任がのしかかりますが、その分やりがいを感じることができますし、実力が伴っていれば収入も上がりやすい傾向にあります。
さらに、出産や育児で休業した女性が仕事復帰しやすいということからも、管理栄養士は長い目で見て役立つ資格と言えます。

管理栄養士と栄養士

栄養に関する知識を身に付け、食事を管理するという点では、どちらも同じなのですが、必要な知識の量や難易度などは大きく違ってきます。

定義

栄養士法での定義を要約すると、管理栄養士は、「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者の療養に必要な栄養の指導や、個人の体調などに応じた健康の保持・増進のための栄養の指導、特定給食施設に対して栄養改善に必要な指導を行う人」。
栄養士は「都道府県知事の免許を受けて、栄養の指導を行う人」とあります。
栄養士は主に健康な人を対象に栄養を指導するのに対し、管理栄養士は健康な人だけでなく傷病者など多くの人を対象に、個々の体調や症状に応じた栄養指導や給食管理を行います。
そのため、管理栄養士は栄養士よりもさらに深い専門知識が必要となります。

取得方法

栄養士の資格は、栄養士として必要な知識や技能を養成学校で2年以上学び、都道府県知事に申請して取得します。
一方、管理栄養士の資格は栄養士の免許を持っていることが前提となり、その上で厚生労働省が実施する国家試験に合格した人だけが取得できます。
当然、管理栄養士の方が難易度は高くなります。

主な勤務先

健康増進法では、特定給食施設に対して栄養士の配置を義務付けており、栄養士の勤務先は学校や福祉施設、更正施設などが多いようです。
特定給食施設の中でも給食の提供数が多い施設、医学的な食事の管理や、特別な栄養管理を必要とする人に対して給食を提供している施設になると、栄養士のうち少なくとも1人は管理栄養士でなければいけません。
そのため、管理栄養士は栄養士よりも大きな施設で働くケースが多いようです。

この仕事に向いている人

食への関心が高い人

管理栄養士は食に携わる現場で活かされる資格なので、食に対して強い関心を持っている人が向いています。
食べることが好きというだけでなく、食の歴史や法律、健康への影響、食習慣、食文化など、食と栄養に関する様々な事柄に興味を持つことが大切です。
また、職場によっては管理栄養士が調理を行うこともあるので、料理を作ることが好きな人や興味がある人にも適しています。

人と接することが好きな人や得意な人

管理栄養士の主な仕事は、栄養の指導です。
給食施設では調理師や栄養士とコミュニケーションをとりながら、的確に指示したり提案することのできる会話力や指導力が必要になります。
どの職場においても同僚たちと協力し合わなければ仕事は上手くいきません。
特に管理栄養士は指導する立場にあるため、チームの先頭に立って積極的に発言していく必要があります。
話下手だと管理栄養士になれないというわけではありませんが、資格を取得できても、実際に仕事をするとなれば、人と接することが苦手な人には不向きと言えます。

コツコツと勉強に取り組める人

管理栄養士になるまでには、まず栄養士養成学校で2年以上学んで、栄養士の免許を取得し、そこからさらに国家試験に向けて勉強しなければいけません。
傷病者をはじめ、様々な人の体質や体調を考えて栄養を指導する管理栄養士は、覚えることが山ほどあり、一つ一つ勉強していくには時間もかかります。
自分の苦手な分野が出てきても地道にコツコツと進められる人でなければ、管理栄養士の資格を取得するのは難しくなります。

必要なスキル

知識さえあれば管理栄養士の仕事ができるかというと、必ずしもそうではありません。
管理栄養士として働くには様々なスキルが求められます。

コミュニケーション能力

これは管理栄養士にとって知識の次に必要となる重要なスキルです。
個人の体質や症状に合わせて給食を管理するためには、一人一人の話を聞き、分かりやすくアドバイスしなければいけません。
こういったカウンセリングや指導をスムーズに進めるためには、相手との信頼関係を築き、その人のライフスタイルや考え方を理解する必要があります。
また、調理師や栄養士に指導したり、医師やケアマネージャーに提案する際にも、日頃からコミュニケーションをとっていればスムーズに進めることができます。
管理栄養士は一人で作業する仕事よりも、人と関わる仕事の方が圧倒的に多いので、コミュニケーション能力を身につけることが仕事の効率化につながります。

パソコンスキル

通常、栄養指導やメニューの管理などはパソコンを使って行います。
高度なスキルは必要ありませんが、ワードやエクセルなど基本的なパソコン操作ができる程度のスキルは必要になります。

企画力

管理栄養士は商品開発や施設でのイベントメニューの提案をしたり、セミナーなどで大勢に対して栄養の指導を行うことがあります。
どのようなテーマでメニュー作りをするか、どのような構成で指導していくかを決める際には企画力が問われます。
また、企画力を身につけることで施設での仕事だけでなく、フリーでも働けるようになり、活躍の場がさらに広がります。

受験資格

管理栄養士になるための国家試験を受験するには、まず養成学校を卒業して栄養士の免許を取得しなければいけません。
さらに、そこから国家試験の受験資格を得る方法は大きく分けて2つあります。

年制大学の管理栄養士養成コース(修業年限4年の管理栄養士養成施設)

管理栄養士として必要な知識や技能を4年間学ぶと、卒業時に栄養士免許を取得でき、同時に管理栄養士国家試験の受験資格も与えられます。

4年制大学、短大、専門学校の栄養士養成コース(修業年限2~4年の栄養士養成施設)

栄養士養成学校を卒業すると栄養士免許は取得できますが、管理栄養士国家試験の受験資格を得るためには、実際に栄養士として栄養を指導する実務経験が必要になります。
実務場所は厚生労働省から指定されており、特定多数人に対して継続的に食事を供給している病院や学校、食品の製造や加工、調理、販売を行っている企業、栄養に関する研究を行っている施設や保健所などがあります。
栄養士養成コースで4年間学んだ場合は1年以上の実務経験、3年間の場合は2年以上の実務経験、2年間の場合は3年以上の実務経験が必要です。
2013年現在では栄養士養成施設の在学期間と実務年数の合計が5年とされていますが、2002年の栄養士法改正前は合計4年で受験資格を得ることができました。
今後また改正されることも考えられるので、最新情報を随時確認してください。
また、将来的には4年制の管理栄養士養成施設の卒業者のみに、受験資格が与えられる方向に向かっているという情報もあります。
これから管理栄養士を目指すのであれば、栄養士から始めるよりも、管理栄養士の勉強を始めた方が無難かもしれません。

合格率

管理栄養士国家試験の合格基準は、1問1点の計算で、総合点60%以上とされています。
2013年現在の試験は全部で200問出題されるので、120問以上正解すれば管理栄養士の資格を取得することができます。
過去9年間の合格率は、2004年度が15.6%、2005年度が25.3%、2006年度が26.8%、2007年度が35.2%、2008年度が31.6%、2009年度が29%、2010年度が32.2%、2011年度が40.5%、2012年度が49.3%と出ています。
合格率は年々上昇傾向にありますが、今後も上がり続けるかどうかは分かりませんし、過去平均は3割程度と、難易度が高いことには変わりありません。
合格率が8割を超える医師や薬剤師の国家試験と比較すると、受験資格取得の難易度も関係してきますが、管理栄養士は非常に狭き門と言えます。
さらに、国家試験受験資格の取得別に分けると、2009年度の試験の合格率は、管理栄養士養成課程の新卒受験者が74.2%、管理栄養士養成課程の既卒受験者が8.6%、栄養士養成課程の既卒受験者が7.5%でした。
同じように管理栄養士の養成学校で学んでいても、卒業後すぐに試験を受けた人と、時間が経ってから受けた人とでは、こんなにも合格率に差が開いてしまいます。
勉強してすぐに試験を受けないと忘れてしまうくらい、管理栄養士は覚える量が多いということが分かります。
また、実務経験を積まなければ受験資格が得られない、栄養士養成学校卒業者の合格率を見ても、働きながら国家試験の勉強をすることの難しさがうかがえます。
養成学校によっても合格率に差はありますが、管理栄養士国家試験を受けるなら。管理栄養士養成学校を卒業した直後が狙い目のようです。

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