仏具についての基礎知識

公開日: : 葬儀.仏事

お線香とは

宗派によって違いはありますが、お線香は花やロウソクとともに仏壇に飾るものとして、もっとも基本的な仏具のひとつです。
その起源は古く、聖徳太子の時代である595年、淡路島に香木が漂着したことをルーツとしているともされています。
それ以降、仏事や神事で使われるようになり、江戸時代初期には現在のような棒状のお線香になりました。

種類としては椨の木の皮を基材として香木や香料を調合した「匂い線香」、杉の葉の粉末を原料にした「杉線香」があります。
匂い線香は家庭の仏壇などへのお供えとして、杉線香はお墓参りのときに使用します。

お線香の供え方については仏前への焼香にならって仏であるお釈迦様、仏の教えを説く経典である法、仏の教えを広めるお坊さんである僧をあらわす3本立てにすることが一般的です。
仏壇にお線香を供えることは仏様へのおもてなしであり、お線香から立ち上る香煙を通じて仏様と話をするためでもあります。

そのほかにも自分の身を清める、仏様の食事にするなどといった意味合いもあります。
そして何よりも、良い香りで心を落ちつけてから仏様と向き合うようにするためでもあります。
ですから、自分の好みに合った香りのものを選ぶようにすると良いでしょう。

最近は煙があまり出ないお線香もあり、そういった機能的な面から使用しやすいものを選んでも良いでしょう。
基本的にお線香と原材料や製造方法が同じであるお香も、香りの好みでお線香として使用することに差し支えはありません。

お位牌とは

お位牌とは仏具のひとつであり、亡くなった人の霊を祀るために戒名を書いて、仏壇やお寺の位牌壇に安置する木製の脾のことです。
表面には戒名や没年月日、裏面には俗名や享年が記載されます。

起源は中国の後漢時代にあり、亡くなった人の官位や姓名を書いて儒教の葬礼に用いられていた神主が、鎌倉時代に禅宗とともに日本へ伝わったとされています。
また、霊の依代という古来の習俗と、仏教の卒塔婆が習合したものであるともいわれています。

家ごとに仏壇を祀るようになった江戸時代になって、庶民の間でも広まりました。
一般にお位牌は、四十九日までの忌中では白木の仮位牌を祀ります。
四十九日の法要までに黒塗りの本位牌を用意して、法要で魂入れをしてもらってから本位牌を祀ります。

基本的に宗派による形の違いはなく、好みの形を選ぶことができ、仏壇や仏具店などで購入して文字入れをしてもらいます。
お位牌は亡くなった人そのものであると考えられていますから、その人にふさわしいものを選ぶようにします。
仏壇に祀る場合には、仏壇の大きさに合ったお位牌を用意するようにします。

原則として本尊よりも下段に祀り、大きさも本尊より大きくならないようにします。
また、子孫のお位牌は先祖のお位牌よりも大きくならないようにすることが一般的です。

お位牌は基本的に一人一人のものを作りますが、本位牌では夫婦を連名にする場合もあります。
また、ひとつのお位牌のなかに先祖の戒名が書かれた7、8枚の板を納めるという合同位牌もあります。
浄土真宗では一般にお位牌を祀らず、過去帳に法名や没年月日を記入します。

戒名とは

戒名とは仏の弟子となった人、すなわち仏教において受戒した人に与えられる名前のことであり、本来は仏門に入った証、仏教の戒律を守る証として生前に授けられるものです。
現代では、お葬式の際に僧侶などからつけてもらい、位牌の表面に仏壇や仏具店などで文字入れしてもらいます。
亡くなった人にとって「死後の名前」であるとして、認識されています。

これは、亡くなった後は誰でも仏になるという思想のもと、日本において亡くなった人に戒名を授ける風習が広まったことによるものです。
戒名は浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「法号」ともいいます。
また、戒名に対して従来の姓名は俗世での名前ということで、「俗名」といいます。

本来、誰でも仏の前では平等ということからどのような人であっても2文字だけであり、戒名の前後には院号、道号、位号などがつきます。
仏壇などに祀る位牌や墓誌、過去帳、法名軸などの仏具には院号、道号、戒名、位号などのすべてが記されるため、一般にはこれらのすべてが戒名としてとらえられていて、長くなる傾向があります。
院号は寺院や宗派、社会に対して貢献した人に贈られるものであり、もっとも上につけられます。

道号は中国から伝わったものであり、字に相当するものとされていて、戒名の上につけられます。
位号は戒名の下につけられる「居士」や「大姉」、「信士」、「信女」などといったものであり性別や年齢、社会的な功績などによって異なります。

浄土真宗ですと2文字の法名に「釈」の字を冠し、日蓮宗では男性に「日」号、女性に「妙」号が使われるなどといったように、宗派によるきまりもあります。

お数珠とは

お数珠は「念珠」(ねんじゅ)とも呼ばれ、仏教とともに日本へ伝来しました。
もっとも身近な仏具として知られていて、多くの珠を連ねて輪にして房を付けているものです。
数え方は一連、二連というように数えます。

一般的に使われている数珠は108個の「主玉」(おもだま)、1個か2個の「親玉」(おやだま)をつなぎ、親玉に「中通し」という紐で「弟子玉」(でしだま)と「露玉」(つゆだま)をつないで房を付けているものです。
実際には、主玉の数を減らしている略式のものがよく使われています。

正式の数珠には主玉の間にやや小さい「四天玉」を4個入れますが、略式では四天玉の代わりに「二天玉」を2個入れます。
球の形状としてはもっとも多い「丸珠」、やや平たい「みかん珠」、もっと平たい「平珠」(そろばん珠)があります。
珠の素材については大きく分けて木材や木の実を使った木のもの、宝石や貴石を使った石のものがあります。

詳細な形式は宗派によって形も違っていますが男性用のものは大きい珠、女性用のものは小さい珠をしています。
葬儀や法事、お墓参りの際には合掌する手にかけ、お経や念仏を唱えるときに爪繰りつつ数を数えます。
合掌するときは房を下にして、左手にかけて右手を添えるように合わせるか、合わせた両手にかけて使わないときも房を下にして握ります。

仏具ですから大切に取り扱う必要があり、携帯するときには数珠袋などといった専用の袋に入れるほか、一時置きをするにも袱紗などの上に置きます。
お守りとしてブレスレットのように手首へつける腕輪念珠もありますが、本来の用途に使うことはできません。

鐘(御鈴)とは

普段の生活の中でもよく目にする仏壇には、鐘が必ず置かれています。
この鐘は、一般的には「おりん(御鈴)」と呼ばれています。
仏壇に置かれるおもな仏具としてはお線香を立てる香炉やろうそくを立てる燭台、花台、そして御鈴があります。
これらに位牌とご本尊をそろえることで、仏壇ができあがります。

仏具にはそれぞれ、意味やはたらきがあります。
御鈴は読経の際に音を鳴らす仏具である「梵音具」の一種であり、木魚なども同様です。
梵音具から放たれる音には精神統一や、邪気を払う力があるとされています。
御鈴の高い音は澄み切っていて、極楽浄土にまで届いて仏様にも届くとされています。

そのため、御鈴は読経の最初と最後に鳴らすほか、拍を整える目的で読経中に鳴らすこともあります。
また、仏壇で線香をあげるときにも鳴らします。
御鈴の形はさまざまであり、仏壇などに鈴台と御鈴を設置するものや手に持って鳴らすことのできるものもあります。
また、宗派によって御鈴や鈴台の形状などに決まりがある場合もあるため、それについてはお坊さんとよく相談する必要があります。

御鈴を選ぶ際に重要なことは、その音色を確認することです。
心地の良い音色が鳴るかどうかは、御鈴の仏具としての意味を考えるととても重要であることがわかります。
また、御鈴の金属の材質によっても音色は少しずつ変化しますから、その点も確認すると良いでしょう。
御鈴のきれいな音を維持するためには定期的に手入れをして、仏具として本来の役割を果たすことができるようにすることも大切です。

過去帳とは

身近な親族を亡くしたときや喪主になったときなどにはじめて、過去帳というものの存在について知るという人は、少なくありません。
過去帳は仏具の一種であり、その家々で亡くなった人の戒名である法号や法名、俗名、死亡年月日、享年などが記録されている帳簿のことです。
仏壇をはじめて購入するというときには、仏具として過去帳もすすめられます。

位牌も同様のものであり、どちらも先祖代々の記録としての役割を担っているものです。
ただ、位牌は時間とともに老朽化していき、ある程度の節目となる年忌で菩提寺に処分してもらいます。
それに対して過去帳は、永続的にその家庭で残されていくものです。

祖先の歴史や自分自身のルーツも知ることができるということで、家系図ともいうことのできる仏具です。
仏壇へ置く場合には、向かって右側に仏像が隠れないよう本尊よりも下段に見台を置き、その上に乗せます。
もしくは平時は引き出しで保管して、月命日に仏壇の見台上に乗せます。

過去帳への記入については、菩提寺の住職にお願いすることが最適でしょう。
鉛筆や筆ペンなどで書くのではなく、墨で書き残して後々まで判読することができるようにしておくことが理想です。

また、家庭で保管されている過去帳のほか、菩提寺に保管されている過去帳もあります。
先祖代々から今日まで同じお寺の檀家であれば、先祖代々の記録が残されているはずです。
さかのぼれば、江戸時代よりも前の祖先のこともわかるかもしれません。

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