バイクの電装の仕組みや働きのまとめ

公開日: : バイク


昨今の現行モデルの大半はフューエルインジェクションが採用されており、一層に電装の重要度が高まっています。また電子スロットルやETCやグリップヒーターや充電器などを標準装備するモデルも増えており、電気はガソリンと同じくらい重要な存在となっています。

オルタネーター

バイクは走りながら自らが必要とする電気を発電しています。その発電の働きをしているのが、磁石とコイルで構成されるオルタネーターと呼ばれる装置になります。ACジェネレーターとも呼ばれています。

エンジンの回転を利用して発電

まず、電気というものは直流(DC)と交流(AC)の2つに分けることができます。それぞれを簡単に説明すると、直流は+と-の方向が決まっている電気の流れで、交流は時間の変化によって+と-の向きや大きさが変化する電気となります。このうち、交流の電気をオルタネーターが発電します。

オルタネーターにはステーターと呼ばれる発電コイルが備わっており、このコイルの周りをN極とS極の磁石を交互に配置したローターがクランクシャフトの力を利用して高速回転を行っています。この磁石が電磁石となり磁界を形成、N極とS極の電磁石がステーターコイルの外側を交互に通過することで、交流電気が発生します。これが、オルタネーターの発電原理となります。

エンジンが始動すると、バイクが必要とする電気はオルタネーターで発電された電気を使用することとなりますが、そのすべてが効率よく使用されるわけではなく、不要な電気はバッテリーに充電されます。

ただし、エンジンの始動時のみはバッテリーの電気を使用するため、バッテリーの消耗が激しい場合はセルモーターを回すことができず、エンジンを始動することができません。これがいわゆるバッテリーあがりという症状です。このバッテリー上がりを起こしても、エンジンを何らかの方法で始動(押しがけやキックスターターによる始動)させ、走らせれば、オルタネーターから発電が行われてバッテリーにも充電されるため、バッテリーが復活します。

バッテリー

セルモーターがエンジンを始動するために必要な電気を供給し、エンジン始動後にオルタネーターが発電した電気を充電を行っているのが、バッテリーです。開放型と密閉型のバッテリーがあり、一般的には密閉型のバッテリーがバイクに作用されています。

エンジンの始動と充電

バッテリーは電気を充電する役割、そしてエンジンを始動させる大事な役割を担っています。エンジン稼動中は、オルタネーターより発電された電気によってスパークプラグの点火、各灯火類の点灯などを行っていますが、最初にエンジンを始動する動作はオルタネーターが発電を行っていませんので、セルモーターを作動させてエンジンを始動させるにはバッテリーの電気が必要不可欠なのです。

バッテリーは、鉛を使用した鉛蓄電池です。+極板に過酸化鉛、-極板に海綿状鉛を用い、そこに電解液(希硫酸)を満たし、鉛と硫酸の化学反応によって電気を蓄えています。

バッテリー内部はセルと呼ばれるいくつかの部屋に分かれており、1セルあたり2.1Vを担当しており、12Vバッテリーの場合は内部は6つのセルに分かれてます。セルの中では+と-の極板が交互に重なっており、特殊セパレーターがセル同士を隔てています。

バッテリーはオルタネーターが発電した電気を充電することで十分な電圧を確保していますが、長時間エンジンを始動しない場合や、短距離走工が多い場合は放電される一方で充電が間に合わなくなり、電圧を低下、セルを回せなくなってしまいます。これがバッテリー上がりという症状になります。

些細なバッテリー上がりの場合は再充電によって復活し、再び利用できるようになりますが、長年充電と放電を繰り返し使用続けたバッテリーは性能を低下してしまうため、通常は2~3年ごとに交換するのが一般的です。

電装について

電装とは、バイクに備えられている電気関係の装備を指します。バイクは走りながら発電を行い充電し、各電気系統に供給することで走り続けることができるのです。

電装の基本

バイクの発電システムは、オルタネーターと呼ばれる発電機で行われています。磁石とコイルを複数組み合わせているもので、このオルタネーターがエンジンの回転により回ることで、電磁誘導を発生させて発電を行っています。

発電された電気は充電して溜めておく必要があります。その役割を持つのが、レギュレートレクチュファイヤとバッテリーになります。レギュレートレクチュファイヤは、レギュレーターという装置とレクチュファイヤという装置を合体させたもので電圧コントロール、整流作用を行っています。バッテリーは、内部で電解液による化学反応を利用して充電を行っています。

充電された電気が放電されることで、エンジンを始動するセルモーターを作動したり、イグニッションコイルを介してスパークプラグに火花を散らさせ、各種灯火類の点灯を行うことができるのです。ETCや携帯機器の充電を行うDC電源なども、バイクから電気を供給しています。

エンジンが始動すれば、各部で電気が消費されていきますが、発電システムによって随時電気が生み出されて充電されます。このサイクルによって、バイクは電気を失うことなく走り続けることができます。もしサイクルのどこかに異常が起きてしまえば電気の供給が途絶えてしまい、充電された電気が失われてバイクを動かすことができなくなってしまいます。

ホーン

危険時に鳴らすことで危険回避を行い、また道路標識によって指定される警笛区間で使用するのが、ホーン(警笛)です。クラクションとも呼ばれています。

ホーンの使用用途

クルマの場合はクラクションと呼ばれることが多いですが、バイクの場合はホーンと呼ぶことが多いです。ホーンの内部には電磁コイルが組み込まれており、ホーンスイッチを押すとコイルに通電され、振動板が共鳴、大きな音が発生するという仕組みになっています。なお、発生する音の周波数は、人間の耳に届きやすい高さという設定になっています。

ホーンは大きな音を発生するため、むやみやたらな使用は大変な迷惑となります。そのため、使用する場所は厳格に制限されています。基本的には、自身が危険を回避するためであったり誰かに危険を知らせる場合と、道路標識によって指定されている警笛区間のみホーンの使用が許可されています。

ホーンの乱用は騒音となる以外にも他人に不快感を与えてしまいます。ホーンによって他車とのトラブルに巻き込まれるというケースも少なくありません。また逆に、ホーンの音に驚かせてしまったことで事故に繋がるということもあります。

しかし一部では、道を譲ってもらった際の「ありがとう」という意味をこめたサンキューホーンを利用する人もいます。法的にはこのようなホーンの使用は違法行為となるのですが、実際は感謝の気持ちのあらわれで鳴らしているということで、厳しく禁止を徹底しているというわけではありません。

イグニッションコイル

点火システムから供給された電圧を100倍以上に増幅させてスパークプラグに供給するのが、イグニッションコイルの役割です。また、イグニッションコイルとスパークプラグを結ぶコードを、プラグコード、もしくはハイテンションコードと呼びます。

電圧を100倍以上に増幅

点火システムがバッテリーやオルタネーターから受け取った電気の電圧は200~300ボルト程度しかなく、この程度の電圧ではスパークが混合気に点火するには至りません。そこで、点火システムから受け取った電圧はイグニッションコイルにて電圧を増幅させて1~2万ボルトという高圧に昇圧する必要があるのです。

イグニッションコイルは、センターコアと呼ばれる鉄心と2つのコイルによって構成されています。2つのコイルは、1次電流を流す1次コイル(プライマリーコイル)と、2次電流を発生させる2次コイル(セカンダリーコイル)と呼ばれています。

1次コイルに点火システムから電気が流れ、遮断されると2次コイルに電気が誘発されて増幅されます。また、1次コイルに急激に電流を流し込んで2次電流を誘発される仕組みもあります。前者は電流遮断式、後者は容量放電式と呼ばれています。どちらの方式でも、高電圧が発生するのは遮断や急激に電気が流し込まれたタイミングのみで、これがスパークプラグが火花を発生するタイミングにもなります。

イグニッションコイルの高電圧は、プラグコード(ハイテンションコード)を通じてスパークプラグへと導かれますが、中にはプラグコイルにイグニッションコイルを備えたダイレクトイグニッションという電圧のロスを最小限に抑えて火花を強力にする方式もあります。

計器類

走行速度を表示するスピードメーターやエンジンの回転数を表示するタコメーター、その他車両情報や捜査状況を知らせるランプ。これら計器類が、バイクのコクピット部位に備わっています。

様々な情報を知らせる計器類

スピードメーターとタコメーターは見る頻度も高いため、大きく視認性が高いものを採用しています。どちらもアナログ型の丸いメーターが主流でしたが、現在では液晶画面を利用したデジタル表示のスピードメーター、タコメーターも増えてきています。

メーター周りにはライダーの操作状況や車両の問題を表示するインジゲーターランプや多機能メーターが備わっています。代表的なのは、ニュートラルランプ、オイルランプ警告ランプ、ハイビームランプ、FIランプ、ウインカーランプなどです。珍しいものでは、ABSランプやギヤポジション、シフトインジゲーターを表示するものもあります。時計といった便利機能が備わっていることもあります。

燃料の残量を把握するために欠かせない燃料系や総合走行距離を表示するオドメーターも計器類に欠かせません。ただし、燃料系は必ずしも搭載されているとは限らず、その場合は任意で走行距離を図ることができるトリップメーターを利用して燃費と照らし合わせて給油タイミングを把握することができます。

計器類はライダーにあらゆる情報を提供してくれるだけでなく、コクピット周りの豪華な演出にも欠かせません。実際のライディング時に一番目に入る車両部位はコクピットであることから、そのデザインも重要なのです。先進的な高性能モデルでは多機能なコクピットが求められ、クラシックテイストを求める車両には逆に、必要最低限の計器類というシンプルなコクピットが好まれる傾向にあります。

灯火類(ヘッドライト・その他)

バイクの前方を照らして安全性を高めている灯火装置が、ヘッドライトの役割です。また、対向車に自身の存在をアピールする役割もあり、さらにはバイクのフロントデザインに欠かせない装備でもあります。

ヘッドライトの種類

現在のバイクのヘッドライトとして主流となっているのは、マルチリフレクタータイプのヘッドライトです。従来はレンズカットを施したすこと配光するハロゲン型ヘッドライトが主流でしたが、マルチリフレクターではヘッドライト内部に多角的な反射板を供えることで光を拡散させて配光を行っています。メリットとしては、レンズカットを廃止することでレンズの自由設計が可能となり、バイクのデザイン性や空力を高める意味でも大きく貢献しています。

レンズカットを施したヘッドライトも一部では採用され続けています。主にクラシックテイストを追求するレトロ系やクルーザー系には、マルチリフレクターよりも従来通りのレンズカットヘッドライトの組み合わせが定番となっています。

ヘッドライトに使用されるバルブはハロゲンバルブと呼ばれています。これは白熱電球の原理を同じ仕組みを利用しているものなのですが、バルブ内にハロゲンガスを封入することで明るさを向上させています。

また、ハロゲンバルブと比べて超寿命のうえ電力消費量も少なく光量にも優れるというHIDヘッドライトもあります。ハロゲンバルブではフィラメントという抵抗体に通電させて発光を行っていますが、HIDではフィラメントを利用せずに電極間の放電を利用して発光を行っています。

レギュレートレクチファイヤ

レギュレーターとレクチュファイヤという2つの装置が組まれた装置が、レギュレートレクチファイヤとなります。オルタネーターが発電した交流電気の電圧コントロールと整流を行っています。

電圧のコントロールと整流作用

レギュレーターとレクチュファイヤは本来別々のものです。ですが、バイクの場合はこの2つが一緒になっているのが基本です。

バイクに搭載されるバッテリーは12Vが基本なので、それ以上の電圧となるとバッテリーや電装系統の故障原因になってしまいます。そのため、レギュレーターに流れてきた電気の電圧が一定以上になった場合は余分な電気の流れをカットして、エンジンの回転によってオルタネーターが発電した高圧の電圧を調整しているのがレギュレーターとなります。

レクチュファイヤでは、オルタネーターが発電した交流の電気を直流に変換する整流作用を行っています。交流の状態では+と-の方向が時間の経過によって入れ替わってしまうために安定しません。直流へと変換して安定させる必要があるのです。直流に変換することで、蓄電が可能となり、バッテリーに充電もできるようになります。

レギュレートレクチュファイヤは激しい熱を帯びるため、熱によって故障する恐れがあります。そのトラブルを塞ぐために、フィンを備えた金属製のボディに搭載し、走行風が効率よく当たる車体部分に設置しています。搭載位置が悪い車両では、しばしば故障トラブルが発生しています。

スパークプラグ

エンジンのシリンダーヘッドに備えられており、シリンダー内で圧縮された混合気に火花を散らせて点火を行うのが、スパークプラグの役割です。点火プラグとも呼ばれています。

火花を散らせてエンジンに火を入れる

イグニッションコイルによって高電圧に昇圧された電気を受け取ったスパークプラグは、火花を発生させて混合気に点火します。この火花を飛ばす部位は、スパークプラグの先端に備わっている中心電極と外側電極の間にあるプラグギャップ(火花ギャップ)と呼ばれる隙間になります。この隙間に点火時期に合わせて電極間に火花を散らせています。

使用されるプラグの数は、基本的には気筒数と同じとなります。シングルエンジンではプラグ1本、ツインエンジンでは2本、フォアエンジンでは4本という具合です。より燃焼効率を上げるために1気筒あたり2本のプラグを用いる場合もあります。この場合をツインプラグ方式と呼んでいます。

スパークプラグには燃焼ガスの発生する高熱を逃がす能力があり、これを熱価と呼ぶのですが、プラグの種類によって熱価は異なります。熱の逃がし方が襲いプラグはホットタイプ、熱の逃がし方が早いプラグはコールドタイプと呼ばれています。熱価の度合いはプラグの品番に表示させており、数字が小さいほどホット、大きいほどコールドとなります。

熱価以外にも、スパークプラグはねじの太さや長さ、構造によっても種類が多数あります。これらも品番によって区別されており、車両それぞれに指定されているプラグを選んで使用することになります。また、中心電極にイリジウム合金を採用することで着火性を高めたイリジウムプラグというものもあります。

セルスターター・キックスターター

電気の力でモーターを回してエンジンを始動させるのが、セルスターターです。現在の市販車では一部車両(キックスターオンリー車両など)を除いて必ずセルスターターが装着されています。

電気の力を利用してエンジンを始動

セルモーターが備わっているバイクには、主にハンドルスイッチボックス右側にスターターボタン(セルボタン)が備わっており、キーをオンにして押すことでエンジンを始動させることができます。

スターターボタンを押すことで、電気がスターターリレーに流れます。スターターリレーとは、クランクをまわしてエンジンを始動させるセルモーターに必要な大きな電気を効率よく伝えるための電気装置です。このスターターリレーから送られた電気はセルモーターへと送られ、モーターのギヤがクランクシャフトに備え付けられたギヤを通じてクランクを回転、ピストンを往復させて点火させます。

今やセルスターターは小排気量モデルから大排気量モデルまで、ジャンルを問わずほとんどの車両に備わっています。一部車両にはキックスターターという人力始動を備えているものもありますが、大抵はセルスターターも搭載されています。

優れたエンジン始動システムではあるセルスターターなのですが、バッテリーの電圧低下(バッテリー上がり)のような場合はセルモーターを回すほどの力が発揮できず、エンジンを始動できないデメリットがあります。そのため、バッテリーの点検や交換は定期的に欠かさず行う必要があります。

点火システム

エンジン内に供給された混合気は圧縮されてスパークプラグによって点火されて爆発するわけですが、このうち点火に必要な電気を的確なタイミングで供給しているのが、点火システムとなります。

点火システムの詳細

エンジンに火を入れる点火系統はいくつものパーツによって構成されています。まずはその各パーツの役割と点火系の流れを解説しましょう。

点火系の最初はシグナルジェネレーターになります。エンジンカブに設置されており、クランクの回転数を読み取り、その情報を点火システムに送っています。情報を受け取った点火システムは、オルタネーターが発電した電気やバッテリーに充電されている電気を受け取り、点火タイミングに合わせてイグニッションコイルへと送ります。イグニッションコイルでは電気の電圧を増幅させてスパークプラグへと流し、高圧の電気によって火花を飛ばさせています。これが点火系統の流れとなります。

このうち、点火システムにはポイント式点火、フルトランジスタ・セミトランジスタ式点火、CDI式点火の4つのタイプがあります。ポイント式とセミトランジスタ式は接点式点火方式と呼ばれ、機械式(セミトランジスタは半機械式)でシグナルジェネレーターからの情報を読み取っています。フルトランジスタ式とCDI式は無接点式点火方式と呼ばれ、電気で情報を読み取ります。現在は後者の無接点式が主流となっています。

また、接点式点火方式と無接点式点火方式は、バッテリーから電気を供給するバッテリー方式と、オルタネーターから電気を供給するフラマグ式に分けることができます。

点火時期

スパークプラグが圧縮された混合気に点火するタイミングを、点火時期、または点火タイミングと呼びます。エンジンの回転数に応じて的確な点火時期とすることで、エンジンはスムーズに回り、力を発揮することができます。

点火時期の詳細

点火時期の表現には、「点火時期が早い」または「点火時期が遅い」という言葉が利用され、上死点の手前に点火時期があるほど早く、上死点に近いほど遅いという意味になります。

点火時期を早めることを進角、遅くすることを遅角とも呼びます。点火時期が遅過ぎる場合、往復運動によって上死点へと上るピストンを下に押し返そうとする反発の力を起こしてしまい、エンジンノッキングなどの異常燃焼が発生します。結果エンジンを壊してしまう恐れもあります。

点火時期が早すぎる場合は、点火によって混合気が爆発し終えた時にはピストンがすでに下がりはじめており、圧縮が足りないためにパワーが出にくくなってしまいます。

また、エンジン内に熱がこもりやすくオーバーヒートの原因にもなってしまいます。最も理想とされる点火時期は、ピストンが上死点に達した時点での点火なのですが、実際はスパークプラグに電気が送られて火花が飛び、燃焼室内の混合気が完全燃焼するまでには時間がかかります。

そのため、点火のタイミングと完全燃焼までのタイムラグを考慮し、ピストンが上死点に達する少し手前での点火が良いとされています。この点火時期のセッティングが市販車では基本で、チューニングの目安にもなります。

バイクはタイヤが回って地面の上を走るわけですが、そのタイヤを回す力がどこかに存在するわけです。それが用は動力発生装置、エンジンです。バイクの中でも特に重要な機械ということで、心臓部とも言われていますね。こちらではそのエンジンの仕組みや種類などをご紹介していきます。

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