バイクエンジンの冷却方法と冷却に関連するパーツのまとめ

公開日: : 最終更新日:2015/07/06 バイク

油冷エンジン

バイクのエンジンの定番である4サイクルエンジンには、常にエンジンオイルがエンジン内部で潤滑と冷却を行っています。このエンジンオイルの冷却性能をさらに効率よく利用しているのがさせているのが、油冷エンジンとなります。

油冷エンジンの特徴

エンジンオイルはもともとエンジン内部の潤滑や冷却に欠かせないものですが、普通に循環させているだけでは冷却機能が十分には至りません。そこで、油冷エンジンは最も発熱量が多いシリンダーヘッド周りに効率よくオイルを吹きかけて、冷却効果を高めています。これに、空冷エンジンならではのエンジンフィンによる外部からの冷却もあわせ、十分な冷却効果を得ています。

油冷エンジンには、エンジンオイル潤滑用のオイルポンプの他に、冷却循環用のオイルポンプを備えており、これによってエンジン上部へとオイルを運び、シリンダーヘッドに吹きかけて冷却を行います。吹きかけられたオイルは通常のエンジンオイルの潤滑手順どおりにオイルパンへと落ち、オイルクーラーへと運ばれ、走行風により冷却、そしてまたエンジン内部へと循環冷却作業を行います。

油冷エンジンは、空冷エンジンよりも高い冷却効果が得られ、そして水冷エンジンよりも構造を簡単とし、整備性やエンジン重量を軽量にすることができる点がメリットとなります。

しかし、空冷や水冷に比べてエンジンオイルの使用量が多く、また劣化も早いとされ、交換時期が早いということでオイル交換による出費が多いというデメリットがあります。

バイクにはフェンダーやカウルなどの外装が装着されています。まさかそれらが“お洒落デザイン”のためと思ってはいませんよね(笑)? 
稀にそういう外装パーツが無いこともありませんが、基本的には色んな目的を持った外装がバイクには装着されているんです。フェンダーは泥除け、カウルは走行風低減や空力を目的としています。

水冷エンジン

水冷エンジンは、現在最も主流のエンジンタイプで、高性能4気筒マシンにはもはや当たり前の組み合わせです。シリンダー内部に水が通る道を設け、文字通り水によってエンジンの冷却を行っています。

水冷エンジンの詳細

水冷エンジンの原理は簡単です。人間が体が熱いと感じた際にプールや水風呂で水に浸かったり、体を動かした後に冷たい飲料水を飲んでクールダウンするのと同じです。エンジンにも水を循環させ、水に熱を奪わせて冷却を行うのです。

冷却水はシリンダーに空けられた冷却水通路、ウォータージャケットを通って循環し、エンジンの熱を奪います。熱を持った冷却水はラジエターにて冷まされ、再びウォータージャケットに送られてエンジン冷却を繰り返します。

空冷エンジンと比べた場合、外気温に影響されずに安定した冷却効果が望め、また空冷のように風が当たらない場所でも高い冷却効果が得られます。よって、オーバーヒートのようなトラブルがより起こりにくいエンジンになっています。また、エンジンが発生するメカノイズも冷却水が吸収し、静寂性にも優れるという利点もあります。

空冷エンジンと比べてデメリットとなってしまうのは、システム構造が複雑となってしまい、メンテナンスが定期的に必要、さらに構成パーツが増えることで重量増加、コストも増してしまうという点があげられます。

冷却水によってエンジン冷却を行うため、空冷エンジンのようなフィンは必要ありません。しかし、ネイキッドやレトロ、クルーザーモデルでは空冷フィンを備えてエンジンの外観美を高めている水冷エンジンもあります。

空冷エンジン

空冷エンジンは、シリンダーヘッドやシリンダー表面にフィンをいくつも設けてエンジンの表面積を増やし、走行風によってエンジンの冷却を行っています。現在の主流は水冷エンジンではありますが、空冷ならではの利点や魅力が影響し、現役で活躍を続けています。

空冷エンジンの特徴

走行することによって生じる風がエンジンに備わっている冷却フィンの隙間を通り抜けることで、エンジンから熱を奪ってくれます。非常にシンプルな仕組みではありますが、現行の空冷エンジンはいかに効率よく風がエンジンを冷却してくれるかを綿密に計算し、フィンの数や形状を決定しています。

冷却に必要な装備はオイル循環を除いたら空冷フィンだけであるため、構造は非常にシンプルです。水冷エンジンのようにエンジン内に水路を設ける必要も、ラジエーターを設置する必要もありません。

ただし、スクーターのように、エンジンに風が当たりにくいような場合はクーリングファンによって冷却を行います。このような手法で冷却を行うタイプは、強制空冷式と呼ばれています。

空冷エンジンのメリットは、製造コストを安く抑えることが出来るほか、整備性に優れるという点です。ただし、高性能を発揮するエンジンや大排気量ともなると冷却が不十分となり、オーバーヒートを招いてしまう恐れもあるというデメリットがあります。さらに、水冷エンジンに比べて騒音も大きくなってしまいます。

現行のバイクでは水冷エンジンが主流です。その理由として、騒音規制や排気ガス規制に対応しやすいという点があげられます。しかし、空冷エンジンならではの美しさを求めるファンも多く、厳しい規制の中でも空冷エンジンもまだまだ現役でラインナップが続いています。

オイルクーラー

エンジン内で内部の熱を奪ったエンジンオイルを冷ます役割を持っているのが、オイルクーラーです。純正で装着されていることもあれば、後付タイプもあります。

オイルクーラーの詳細

エンジンオイルは各部を潤滑するだけでなく、内部で発生した熱を奪って冷却する働きも持っています。そのため、エンジンオイルは次第に高温となり、冷却効果を低下させるだけでなくオイルの粘度も低下させてオイル機能全般を低下させてしまう恐れもあります。これを防ぐために、オイルを冷やすオイルクーラーを備えているのです。

オイルクーラーは空冷式と水冷式に分けることができます。空冷式は、水冷エンジンのラジエターと同じような構造をしており、オイルが通るパイプとフィンを交互に組み合わせたラジエターコアに走行風を当て、冷却を行います。走行風が当たらなければ効果的に冷却を行うことができませんので、基本的にはフレームのダウンチューブ周辺に取り付けされています。

水冷式は、水冷エンジンの冷却システムとして活用されている冷却水を利用してオイルの熱を奪う仕組みです。設置場所はクランクケースの前側であることが多く、走行風によっても冷却されやすいようにしています。

純正で備わっていなくても、アフターパーツとしてオイルクーラーも売られています。ただし、後付の場合はオイル循環系の不良を招く恐れもあり、場合によってはエンジントラブルを引き起こして逆効果となってしまうこともありますので、取り付けには注意が必要です。

冷却水の循環

冷却水を循環させることでエンジンの熱を効率よく下げる水冷エンジンは、熱を奪った冷却水を冷ますラジエーターが大きな特徴です。ですが、循環にはそれ以外にもラジエーターキャップやサーモスタット、ウォーターポンプといった循環装備が欠かせません。

ラジエターキャップ

冷却水がエンジンの熱を奪って水温を上げると、冷却水が流れるウォーターラインの圧力も上げてしまいます。圧力が上がったままですと、ラジエターやホースが圧力の負担がかかり、壊れてしまう可能性がでてきます。それを防ぐために、ラジエターキャップが活躍しています。

ラジエターキャップには加圧用と負圧用の弁が設けられており、冷却系等の圧力が一定以上に高まると加圧弁を開いて冷却水をリザーブタンクへと逃がさせます。また、逆に冷却水の温度が低下した場合は、負圧弁を開くことで、リザーブタンクからラジエターに冷却水を流し込むのです。

サーモスタットとウォーターポンプ

サーモスタットは、冷却水のウォーターラインの途中に設置されており、ラジエーターへの水路を管理しています。冷却水の温度を察知し、水温が高くなったときにはラジエターへの水路を開き、適正の水温になるように調整します。サーモスタットは冬季のオーバークール防止の役割もあります。

ウォーターポンプは、冷却水を強制的に循環させる回転羽です。自然に冷却水を循環させる仕組みもありますが、現在の水冷エンジン採用バイクでは、ウォーターポンプによる強制循環が一般的となっています。

ロングライフクーラント

水冷エンジンは水で冷やすエンジンと文字にしていますが、本当にただの真水を利用しているわけではありません。ロングライフクーラント(LLC)と呼ばれる冷却水として適した成分が含まれた特殊な水を使用しているのです。

ロングライフクーラントの詳細

もし仮に真水を冷却水と利用していたとすると、冬場の寒冷時には冷却水が凍結してしまう恐れがあります。ただ水が凍るだけならまだしも、水は凍ると体積が膨張するという性質をもっているため、冷却系等を圧迫し、破損させてしまう恐れがあるのです。また、水が金属と触れることで、錆を生じてしまう恐れもあります。

冷却水に用いられるロングライフクーラントの主成分はエチレングリコール。これに防錆添加剤が加えられています。これを使用することで、凍結や錆を生じる心配も無く使用することが出来るのです。

ただし、定期的なメンテナンスは必要となります。冷却水が減らない限りはそのまま使えないことも無く、中には冷却水のメンテナンスフリーをうたうものもありますが、一般的には2年に1度は冷却水の交換を行うことが推奨されています。

冷却水は減らずとも、空気に触れることで冷却水は酸化してしまい、また高温状態と冷却状態を繰り返すことで成分が消耗してしまい、本来持っている防錆効果などを十分に発揮できなくなってしまいます。冷却系統を錆や腐食から守るためにも、冷却水の減少に関わらず定期的な交換が望ましいです。

ラジエター

水冷エンジンでエンジンの冷却を行っている冷却水ですが、熱を奪えば今度は冷却水の温度が上がってしまいます。そこで、循環を行う間にラジエーターを経由することで冷却水を冷まし、再び効率よくエンジンの熱を奪えるようにしています。

ラジエターの詳細

ラジエーターとは、エンジン前方、主にフレームのダウンチューブエリアに設置されており、内部を通る冷却水が走行風によって冷まされやすいようにしています。

ラジエターの構成は「アッパータンク」「ラジエターコア」「ロアタンク」3つに分けることができます。まずはアッパータンクにエンジンの熱を奪った冷却水が溜められます。次に平たいウォーターチューブと波状の冷却フィンが備わるラジエターコアにて冷却水に効率よく走行風を当て、熱を奪います。最後にロアタンクにて冷やされた冷却水が溜まり、再びエンジンの冷却へと送られます。

ラジエーターの形状は2つのタンクが上下に備わるダウンフロー型と、タンクを左右に備えるクロスフロー型があります。

ラジエターコアを構成するウォーターチューブはとフィンは効率よく熱が奪えるようになっています。チューブは平たくなっており、中を通る冷却水が走行風に当たりやすいようになっています、フィンはアルミや銅といった熱伝導の良い材質を用い、波状にすることで面積を増やしています。また、単列式のシングルコアよりも冷却効果を高めたコア2層式のダブルコア、さらには3層式のトリプルコアもあります。

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